30個目の個人開発「MENTA」、月商140万円からランサーズへ株式譲渡。入江慎吾氏の全経緯
オンラインメンターサービスMENTAは入江慎吾氏の30個目の個人開発。初日流通9万円から、プログラミング特化への転換を経て月間流通900万円・売上140万円へ。2018年6月開始、2020年10月にランサーズへ株式譲渡した。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
事業の歩み
| 時期 | 出来事 | 数字 |
|---|---|---|
| 2018年4月 | 受託開発をやめ、サービス開発に専念を決断 | — |
| 2018年6月3日 | 2ヶ月の開発を経てMENTA正式オープン | 初日アクセス約8,000人・流通9万円 |
| 2018年6月 | 初月 | 流通約70万円・売上約12万円 |
| 2018年秋 | 5ヶ月目 | 月間流通100万円突破 |
| 2019年1月 | プログラミング領域への特化を決断 | ここからPMF |
| 2020年1月 | 記事執筆時点 | 月間流通900万円超・売上140万円 |
| 2020年10月 | ランサーズへ株式譲渡、グループ入り | 譲渡額非公開 |
| 2020年12月 | 別サービスCLOUD PAPERもM&Aで売却 | — |
何をやっていたのか
MENTAは「だれかの先生になったり、生徒になれる」オンラインメンターサービス。月額課金で現役エンジニアなどに直接相談できるマッチングの場で、メンター登録は4,000人規模まで成長した。プラットフォームの収益は流通額に対する手数料で、2020年1月時点の公開数字(流通900万円超・売上140万円)から逆算すると、取り分はおよそ15%前後とみられる。
入江氏にとってMENTAは通算30個目の個人開発サービスだ。2008年に最初のサービスを作り、2011年のフリーランス独立後も作り続けた。テストユーザー募集では50名の枠に約200名が応募し、オープン前からメンター200名を集めていたことが初日の勢いにつながった。
転機 — 「何でも相談できる」から「プログラミング特化」へ
オープン当初のMENTAはジャンルを限定しないメンターサービスだったが、流通は月70万円前後で伸び悩む。転機は2019年1月のプログラミング特化だった。本人は、この方向転換の後「自然な流れで流通額が増えていった」と振り返っている。
汎用マッチングは「誰向けか」が曖昧で口コミが起きにくい。プログラミング学習という「お金を払ってでも短縮したい課題」に絞ったことで、ユーザー獲得・メンター供給・単価のすべてが噛み合った。これはBannerbearが「ニッチにすべきは課題ではなくターゲット市場」と気づいて伸びた構図と完全に同型である。
売却の経緯
2020年10月、MENTAは株式譲渡によりランサーズグループへ参加した(譲渡額非公開)。スキルシェア市場で送客力を持つランサーズとの統合は、単独グロースより速いという判断だ。入江氏は譲渡後もグループ内でMENTAの開発を続け、さらに同年12月には自身のクラウド見積・請求サービス「CLOUD PAPER」も売却している。
数字の裏を読む
29個の不発があって30個目が当たった——ヒット率3%は正常値。 入江氏は12年間で30個のサービスを作り、事業として大きく育ったのはMENTAだった。この打率は「70個作って当たりは4個」と公言するPieter Levels氏(約5%)とほぼ一致する。個人開発の成功は狙撃ではなく試行回数のゲームであり、1個の失敗で撤退する人には構造的にヒットが出ない。
「作る力」より「捨てる決断」がPMFを生んだ。 MENTAの数字が動いたのは機能追加ではなく、対象領域を捨てて絞った瞬間だった。月70万円の流通がある状態で領域を絞るのは怖い判断だが、絞った後に流通は10倍以上になった。伸び悩みの原因は機能不足ではなく「誰のためのサービスか」の曖昧さ、というのは個人開発全般に効く診断である。
譲渡先は「高く買う会社」ではなく「流通を持つ会社」。 ランサーズはスキルシェアの顧客基盤とブランドを持つ。MENTAの成長ボトルネックが認知獲得にあった以上、資金より送客がほしい局面での株式譲渡は合理的だ。Zennがマネタイズを急がないクラスメソッドを選んだ判断と並べると、**譲渡先選びの軸は「自分のサービスの一番の欠乏を埋める相手」**だとわかる。
「売っても作り続ける」型の出口が国内では主流。 入江氏はグループ入り後もMENTAの開発に従事し、その後も個人開発を続けている。売却は引退ではなく、資金と時間を確保して次の試行回数を買う行為——「稼ぐ→売る→また作る」のループが個人開発FIREの実像だ。
どこまで再現可能か
- 再現しやすい点: 「オープン前に供給側(メンター200名)を集めておく」「伸び悩んだら領域特化」という2つの型は、マッチング系サービス全般に適用できる
- 限界: 初日8,000アクセスは入江氏の長年の発信による観客(フォロワー)があってこそ。無名の状態で同じ立ち上がりは再現できない。譲渡額が非公開のため、2年半の投下時間に対する経済的評価は不能
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出典
- 入江慎吾氏note「『個人開発』からはじめたサービスで月140万円の売上を達成するまで」
- ライフハッカー・ジャパン「個人開発でM&Aも経験。MENTA代表・入江慎吾の仕事術」
- ランサーズエンジニアブログ「グループ化から1年。組織の目線で振り返るMENTAの変化」
本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。詳細は必ず一次情報をご確認ください。