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$20M(条件付き)を蹴って$40M(全額現金)を取った。AppArmor、キャンパス安全アプリの交渉全記録

キャンパス安全アプリAppArmorは、Sinkinson兄弟がRFP営業で年商$5.6M・利益率60%へ。2021年の$20M(条件付き)を拒否し、競合Raveから$40M全額現金・条件なしを引き出した。買い手はその1年後$560Mで転売された。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

金額の円表記は円=カナダドル換算を含む概算です(最終売却額 CA$40M≒48億円)。

タイムライン

時期出来事
2011年David Sinkinson氏がクイーンズ大学在学中、キャンパスの非常用電話ボックスの30%が故障している監査結果から着想
2012年兄弟でローンチ(2014年に専業化)
2015年末ARR 100万カナダドル
2019年1月コロラド州コミュニティカレッジ機構(13校)の入札を獲得——RFP(公募入札)営業で毎年ほぼ倍増
2021年CA$20Mのオファーを拒否(「ひも付き」のアーンアウト条件を嫌った)
2021年11月競合Rave Mobile SafetyがCA$40M・全額現金・複雑な条件なしを提示
2022年1-2月契約・着金。移行支援は3ヶ月の予定が約7ヶ月に
2022年12月RaveがMotorola Solutionsに$560Mで買収され、ファントム株を持っていた兄弟に追加のペイアウト

事業の数字(売却時)

項目数字
年商$5.6M(CA$7M) / 利益率60%
顧客大学等350〜400機関
価格基本CA$1.5万/年、フル機能でCA$4.5〜5万/年(買い切り→サブスクへ転換済み)
体制20人・ブートストラップ

交渉の解剖 — 何が$20Mを$40Mにしたか

  1. 断る理由が明確だった: 金額ではなく「アーンアウトのひも付き」。Tweet Hunterの後悔を先回りで回避した判断だ
  2. 買い手が競合だった: Raveは入札でAppArmorに負け続けており、「排除するための買収」には競争上の価値があった。Honeymoons.comを買った競合と同じ、最も高く買うのは最も負けている相手という構図
  3. David氏の言葉——「起業では『勝ちを確定させる』機会は何度も来ない」。全額現金・条件なしという質の高いオファーは、金額の多寡以上に稀少だった

ここから学べること

「検証は同業者ではなく市場に求めよ」。 創業時、周囲は「大学がアプリに金を払うはずがない」と言った。兄弟はRFPへの応札という市場そのものからの検証で反証し続けた。営業主導のバーティカルSaaSは、この「入札で勝てるか」という残酷で明確なフィードバックが成長エンジンになる。

売却先の売却まで視野に入れた「ファントム株」の妙。 全額現金に加えて買い手の疑似株式を持ったことで、1年後のMotorola買収($560M)でも追加の実りを得た。現金の確実性と、買い手の成長へのオプションは両取りできる

「デューデリは地獄」という証言はすべての売り手への予防接種。 侵襲的な調査に数ヶ月耐える前提で、Usersnapの「データルーム常時最新」を平時からやっておくことが、唯一の緩和策である。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。詳細は必ず一次情報をご確認ください。